『対人援助学マガジン』第28号発行!
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発行日 2017年3月15日
発行者 対人援助学会
編集長 団 士郎
【編集長から】
今号の編集では、議論すべきことがあった。マガジンへの連載は基本的に、学会員である方の希望によっている。学術誌ではないので、査読したり、内容について編集部が口出ししたりすることは原則的にない。自由に書いてもらえたらと思っている。しかしそのことと、何でもそのまま掲載しますというのとは当然違う。もしそうなら編集者は要らない。
執筆者の見解の多様性は尊重したい。対人援助を限られた立場や角度からしか見ない、扱わないのは世界を狭く想定してしまうことになると思う。対人援助には、援助する側もあれば、される側、その狭間にいる側が存在して当然だ。それぞれが抱える考え方も経験も様々だろう。
だから客観的事実の記述という基本スタンス以外にも、体験という主観に基づく記述も、マガジン執筆の範疇に含まれていて良いと思う。
基本のところで大切にしたいのは、記述されたものが読者に伝わること、著者の見解が読者に届く(内容の賛同ではなく、別の見解として了解可能)ように書かれていることである。
七年目28号を終えようとする継続発行のマガジンにおいて、結果的にではあったが、ここまでの執筆者の九割を編集長自身が個人的に存じ上げていた。編集員二名が知っている人を併せると100%になる。そういう方針だったわけではなく、小さな学会であるから、ある意味必然だった。
だからといって、知り合い同士で作っているマガジンの意識はさらさらなく、執筆者が行っている仕事や実践について、編集者が関心を持ち、承知していることを表していた。
だがそれは一方で、やはり閉ざしているところも含まれていることを否定できない。今回、縁あって、全く未知の会員からの投稿を掲載することになった。掲載されているものがすべてなので、経過について特に書かねばならない事はない。
ただ、連載決定までには、内容ではなく、記述の形式について、編集者の意見を色々と申し上げ、やりとりすることになった。
対人援助学マガジンは、個人のホームページやブログ、Twitter、Facebookとは異なる。ウェブ版ではあるが、学会ニュースレター位置付けの「連載専門誌」という学会員が執筆する定期刊行物である。読者は学会員のみに制限していないことなど、当初からデザインしてきたことを共有するために、編集者として再考するのに良い機会になった。
編集会議でも議論したり、編集長としてもいろいろ思うことが多かった。読者の方々にも、考えていただく良い機会ではないかと思う。
こういう刊行物は生き物である。常に変化をしながら発展し、時には形を変えていく。マガジン(雑誌)なのでそれほど四角四面に考えていただく必要はなく、知的好奇心の展開として、いろいろ思うところを投げ掛けていただけるとありがたい。