対人援助学会 ヒューマンサービスを科学する

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『対人援助学研究』執筆案内

guideline

2010年10月7日
望月 昭(初代編集委員長)
2017年3月18日
サトウタツヤ(第2代編集委員長)
2022年3月16日
中鹿直樹(第3代編集委員長)

 『対人援助学研究』は,日本対人援助学会が発行する学会研究誌です。既存の学範(ディシプリン)や職制を問わず、広い意味での対人援助(Human Services)という実践的・理論的テーマについて、広く社会に報告・発信・要請を行うことを目的とします。
 あらゆる対人援助作業では、当事者と援助者の閉じた関係に終わることなく、必要な支援のあり方やその経過について、当事者、同僚、関係する組織、そして社会全体にその情報を公開し、その妥当性を確認し、そして当該作業の継続やさらなる展開を実現するための援護活動(=アドボカシー)を行うことが求められます。『対人援助学研究』は、そのような対人援助者にとって不可欠な言語実践の場を共有する援助設定であるとともに、ひろく対人援助に関心のある学生・院生、あるいは市民に、この領域における課題を遅滞なく公開するものです。
 そのような機能を最大限に果たすために、発刊の形態や編集方針や公開後の運営など、これまでの学会誌にはない新しい試みを行いたいと考えています。

Ⅰ.当誌の発刊方針と特色

 本誌の位置づけはいわゆる「査読つき論文」を発行する学会誌です。とはいえ、前記したような対人援助実践の特徴から、執筆者は、大学や研究所などに属する狭義の研究者だけでなく、様々な対人援助場面で活動している実践者の投稿を歓迎します。
 本誌は、紙媒体を持たないWeb上での発表形式をとります。内容の体裁としては従来の学会誌の形を踏襲しますが、公開は対人援助学会のHPの「刊行物」にPDFによってなされます。このような形式の選択を行った理由としては、以下のことが挙げられます。
1)サーキュレーションの速さ:
 紙媒体の雑誌の場合、一定数の論文が揃いその査読が完了するまで発刊ができず、結果的に投稿から発刊までに大きな時間遅延が生じる論文が出てしまう場合があります。前記したように、対人援助の現場では、遅滞なく報告や要請を社会に行うことが必要なコンテンツも予想されます。Web発刊形式は、投稿から発刊までの時間の短縮が可能になり、必要であれば緊急アピールといった機能も担うことができます。
2)フィードバックや討論のしやすさ:
 Webですので、発表された論文に対するコメントやフィードバックなどを自由に追加したり特集などを組むことができます。またその際に、Web上のリンク機能などを活用して、関連するコンテンツを参照するといった読者や執筆者自身の学習的(ヒューリスティック)な展開も可能です。
3)利用者の拡大:
 昨今の学生や研究者の先行論文の検索においては、「ネット検索」という方法が最も一般的であり、関係する探索システムとの連携により、広い範囲の読者を想定しその利便性と同時にアクセス頻度を高めることが期待できます。「対人援助学研究」は、世界のどこからでも無料で自由にアクセスすることが可能です。
4)経済的コスト:
 現状の対人援助学会の会員数と会費設定を考えた場合、紙媒体による定期刊行には、学会費の大部分の予算をそれに振り向ける必要があります。Web論文とすることで、そうしたコスト上の問題を一定回避し、コンテンツや編集作業に労力を集中することができます。また、個別論文の字数の自由度にもつながります。

Ⅱ.投稿から公刊までのプロセス

 当誌へ論文を投稿するにあたっては、当学会の会員である必要があります(連名の場合には第一筆者に限ってその条件が必要です)。投稿時に同時に入会手続きをとることもできます。
 当誌は以下のようなプロセスを経てWeb上に公刊されます。
1) 投稿の申し込み:
対人援助学研究」に投稿を希望する人は、タイトルと執筆者の名称などを記載する「投稿フォーム」と投稿論文を直接編集事務局(journal@humanservices.jp)に添付ファイルにて送付してください。申し込みに際しては,「『対人援助学研究』編集規定」および「執筆・投稿規定」をお読みください。
2) 論文の受稿:
 原稿が事務局に到着した日を「受稿日」とし,論文が掲載された場合には文末に,「受稿 2010.10.30」といった形式で表示されます。
3) 査読:
 論文を審査したり修正を執筆者に指示する作業が「査読」と言われるものです。査読は,投稿論文のテーマに関連する2名の査読者によって行われます。2名の査読者のうち1名は、「対人援助学会」の編集委員会の委員を行い当該論文の主査とします。他の1名は,副査として、理事もしくは編集委員会で選出された関係者に依頼します。査読は,投稿者の名前や所属の情報は伏せて行われます。また執筆者にも査読者の名前は伏せて作業はすすめられます。
4) 論文の修正から「受理」まで:
 論文が当誌にふさわしい内容と認められた場合でも,投稿区分の変更(例:「研究論文」から「研究ノート」:編集規定参照)や,部分的な書き直し,および修正の指示や提案を受ける場合があります。投稿者にはその指示に従って指定された期日までに,書き直しをしてもらいます。しかしこれらの指定,提案に関して,執筆者は,査読者の意見に反論することも可能です。その場合にはその内容を明確に示してください。
 書き直した後に再び提出された原稿は,必要とあれば再び査読者のもとで査読されます。査読者による再査読の結果,必要な修正が終了したと判断された場合,編集長によって「受理」の通知が投稿者に送られます。印刷された論文の末尾には,この「受理」の日付が,「受稿」の日付とともに示されることになります。
5) 校正:
 受理された原稿は,まず校正刷りのファイルとして「印刷」され,執筆者に送付されます。この段階で,誤字脱字等を修正することになります。原則として執筆者の校正は2回(再校まで)行われます。
6) ホームページでの公開:
 完成した論文は,対人援助学会のホームページの「刊行物」「学会誌」というところに,PDFファイル(印刷物のハードコピーのようなもの)で公開されます。従って,世界中の人によって閲覧が可能となり,このPDFに含まれる単語は多くの検索エンジンでヒットします。投稿者はその事をよく自覚した上で執筆してください。

Ⅲ.原稿の体裁について

 投稿論文の原稿は、以下の要領でお書きください。なお字数カウントなどを容易にするために、A4(40×40)のフォーマットでお願いします。

1.タイトルから英文要約(投稿区分,タイトル,所属,氏名など)
1)投稿区分:
 投稿区分を1ページ目のタイトルの左上に書いてください(投稿区分については編集規定も参考にしてください)。
 投稿区分のうち,「研究論文」(Articles)は,いわゆる原著論文といわれるもので,先行研究のレビューを前提に、その文脈上,独創性が明確であり,確実な方法論に則って新しい知見を提出するものです。「実践報告」(Practical Report)は,主に,実践・臨床の現場における研究の経過や事例研究の成果など,当該分野における研究の進展に寄与する内容を持つものです。「研究ノート」(Research Note)は,当該分野における実証的あるいは論考的研究へ,新たな示唆や問題提起等を含んだ論文です。実験方法や装置などの開発やアイディアも含まれます。「展望論文」(Reviews)は,特定の研究主題や分野に関する研究成果の概説と論評,研究の現況と課題などで,当該研究の啓蒙と啓発に寄与する内容の評論です。論文を募集する際には,どのカテゴリーで投稿するか明記する必要がありますが,査読の結果,投稿者の承諾のもと,変更をする場合もあります。
2)タイトルの注:
 その研究が助成金を受けていたり,その実施に関して特記すべき点がある場合(例えば,卒論研究や修士論文であったりしたとき)に,必要と考えられる場合に、タイトルに注番号をつけ,脚注として記載して下さい。
3)筆者の所属をタイトルの下に明記してください。
 原則ローマ字で書いて下さい(苗字をすべて大文字で,名前は頭文字のみ大文字で,苗字,名前の順序で)。
4)筆者の所属を名前の下に明記してください。
 所属は、当該論文の研究を行った時点での所属もしくは、現在の所属を書いてください。その場合、いずれの所属に関しても、一方を註に表記することを推奨します。例えば、研究は大学院時代のもので、現所属は別の組織の場合は、註に『当論文は**研究科修士論文の一部である』といった表記を註につけてください。
5)所属も英語表記してください。
 大学内の学部や研究科などの名称については,関係部局に問い合わせて間違いのないようにしてください。
6)英文アブストラクトをつけてください。
 英文アブストラクトには、英単語にして200から300ワード程度でお願いします。アブストラクトには、方法だけでなく結果などを含めた論文全体を要約するようにしてください。また、このアブストラクトに含まれる5件程度の英文キーワードも文末に記載してください。
 また、この英文アブストラクトとキーワードの日本語訳をこのアブストラクトの下に記載してください。
 タイトル等に関しては、次ページの図も参考にしてください。



2.本文
1)項目だては,ゴシック太字で。
2)引用の仕方:本文中の引用文献の書き方
・引用文献を注番号でまとめる方式はとりません。すべて本文中に,引用する筆者と年号を書きます。
・本文での引用文献の表記には苗字だけを書きます。
・文中もしくは,文章の終わりに( )内に,引用文献を書く場合には(名称,年号)の順番で書いて下さい。
・引用文献の筆者を文の中に書くときには,名称(苗字の後に年号を書いてください。筆者が複数のときには,日本名の時には,・で区切ってください。連名者が多数の場合でも,初出には全員の名前を書いてください。本文で2度目以降では,**他(2005前出)といった省略した形式で結構です。
・外国人名英文人名の表記については,当該論文での表記言語を使用のこと。翻訳書を読んで引用する場合にも,同様に表記した上で,文末の引用文献に,その翻訳書を紹介してください。翻訳年も明記してください。
3)文末の引用文献の書き方
・文末の引用文献は,「引用文献」と,他の大見出しと同じフォントを用いた上で,内容については,数行にかかる場合には,二行目からは2文字おとします。
・英文の単行本の名称は,斜体で表記してください。雑誌論文は,論文名の後はピリオド,巻名(号名),ページをカンマで区切り,最後はピリオドを記載してください。原則,カンマの後は半文字あけてください。
・文末の引用文献では,日本人(あるいは漢字名称)の場合は苗字も名前も書きます。英語で名称を書く場合は,名前の部分はファーストネームとミドルネームの頭文字を苗字の後に書きます。
・英語名の雑誌名は斜体で書きます。
4)本文中に引用していない文献を,参考文献として挙げる場合には,本文に(望月昭,1988 参照)といったかたちで、極力引用文献として表記するようにしてください。

3.図表の表記
 図表は,基本的には,本文を参考にしなくても,その図表とそのキャプションだけで,結果等の概要が把握できるように,図中もしくはキャプションに必要な事項(変数名称など)を記入してください。原稿提出の際には,図表を,本文に挿入するか、別添でまとめて提出しても結構です。ただし、前記の本文挿入の場合も、図表は加工可能なファイルとして別添でお送りください。別添のみの場合には,その別添ファイルにも必ずキャプションをつけ、本文には当該図表の挿入位置の指定をしてください。ワードの場合は、「コメント」機能を用いてくださっても結構です。

4.謝辞
  研究協力者や組織などへの謝辞は,本文末(引用文献の項目の前)に記載してください。その際,研究対象者へのプライバシーの保護などに留意してください。

Ⅳ.研究と発表に関する倫理

 論文として表された研究内容について次の事を必ず心がけてください。

1.先行研究の引用
先行研究を引用することは,当該論文の位置づけを示すためにも重要です。既に常識とされているような理念や方法についても,可能な限り先行する著作や研究論文の引用を行ってください。自分の著作や論文についても全く同様です。さらに刊行された文献ではなく、同僚などの意見や助言などの場合でも当該論文に貢献したと判断される場合は、本文中には、『望月(1988)』、そして本文末の引用文献の部分には、『望月昭(1988)個人的私信』などと表記してください。

2.研究目的と方法(研究倫理について)
 対人援助系の研究では,その目的が,対象となる研究参加者自身にとって直接・間接に利益をもたらす事実あるいは可能性が示されることが望まれますが,その上で,以下の3点について配慮してください。
1)インフォームドコンセント:
 研究の目的や得られる結果について,対象者本人もしくはその代理となりうる人に充分説明し,その実施と発表に関する承諾を得ていること。
2)プライバシーの保護:
 研究対象者の個人的情報に関して,当該の研究に直接関与していない人には,その個人が誰であるかが特定されないように細心の注意を払って表記してください。
 対象者個人の名称やその個人が所属する機関や施設の記述を匿名とする場合,頭文字を使用する際には、当該個人や組織の実名に基づいたものではなく,機械的にアルファベットをAから耳順に割り振るなどの工夫をしてください。また,対象者の個人的属性に関わる記述に際して,当該の研究・実践とは、直接関わらないような情報は記述しないようにしてください。
3)研究のフィードバック:
 インフォームドコンセントを得た対象個人や組織に対しては,研究の結果を報告してください。
 とくに、上記の1)インフォームドコンセントについては、研究の方法の項目の中に、具体的にどのような形で行われたかを記載してください。